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この場所の物語
砂の中に埋まって、じわりと体があたたまっていく、あの感覚を知っていますか。指宿の砂むし温泉は、浜辺に横たわって砂をかけてもらうだけで、もうそれが暮らしの一部になるんです。市内の地面を1m掘れば温泉が湧くというこの土地は、湯が空気のようにそこにある場所で、江戸の昔から「湯豊宿」と呼ばれてきたことが、なんだかうなずけるんですよね。
開聞岳が海の向こうに見えて、池田湖が静かにそこにあって、山川港には漁業の日常があって、という具合に、指宿は層になっています。岩崎美術館には建築家槇文彦が設計した建物の中に薩摩焼が収められていて、ふだんの散歩の途中にそういう場所があるのは、長く過ごす人にとって、じんわりうれしいことだと思うんです。
JR指宿枕崎線で鹿児島中央から約1時間、という距離感も、ちょうどいい。都市の仕事と、砂むし温泉のある夕方と、オクラの畑のある朝と、を行き来できる場所として、この薩摩半島の南端は、ほかにちょっと似たところがない土地なんですよね。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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