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この場所の物語
西武新宿線の窓から見えてくる景色が、ある駅を過ぎたあたりから、すこしずつ空が広くなるんですよね。武蔵野台地のなだらかな地続きに、住宅と畑と公園が、ちょうどいいぐあいに混ざり合っている。
野火止用水が江戸の昔から水を引いてきたこの土地には、東京狭山茶の茶畑が今もあって、ふだんの買い物の帰り道に、そういう風景と目が合ったりする。北山公園では6月になると菖蒲祭りがひらかれて、地元の人たちがぞろぞろと歩いてくる、その感じがいいんですよ。正福寺地蔵堂という、国宝に指定された小さなお堂が住宅地のそばにひっそりとあって、それを知らずに暮らしている人もいれば、知っていて誇りにしている人もいる。
新宿へ出るのに、それほど時間をかけずに戻ってこられる場所でありながら、武蔵野うどんを出す店や植木の苗木を扱う店が通りに残っていて、都市の外縁部にいるような、内側にいるような、どちらともつかないあわいに、この町は静かに立っているんです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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