ONSEN 岩手県
安比温泉
Appi Onsen
TIER2
温泉

湯船がふたつの顔をもっている、というのがこの場所のふしぎなところなんです。ひとつは八幡平の山懐に抱かれた野湯で、登山道からすこし分け入ったところに、有志の手でととのえられた湯船がぽつんとある。硫黄の匂いがただよって、浸かると山そのものに溶けていくような気持ちになるんだなあ。

もうひとつは安比高原に開かれた温泉街のほうで、こちらはペンションのオーナーたちが手をかけて守ってきた単純温泉。ふだんの暮らしに近いやわらかなお湯なんですよ。長く泊まるなら高原側の、ちょっと生活感のある空気がありがたくて、朝も夜もお湯に通える距離感がいい。

多拠点で暮らすひとには、山と里のあいだを歩いて行き来できるこの地形がそのまま日常の骨格になりそうです。はじめて日本を訪れるひとにとっては、昭和のはじめに鉱山とともに開かれ、戦後にふたたび人が訪ね、やがて復元されたという時間の重なりが、観光地とはすこしちがう手ざわりとして残っているんです。

ふたつの湯のあいだを歩くことが、そのままこの土地の時間を歩くことになる。

基本情報
所在岩手県

岩手県八幡平市にある温泉。山中の野湯と安比高原に開発された温泉街の両方を指す。野湯は硫黄泉、温泉街は単純温泉で源泉温度は53℃。

地図
歴史
1932年開業, 安比鉱山, 1947年戦後訪問記, 1961-1962年観光開発, 1986年復元
アクセス
岩手県八幡平市。八幡平への登山道から利用可能。
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