ONSEN
山形県
あつみ温泉
Atsumi Onsen
温泉
川のせせらぎが、まちの時計みたいに動いているんです。温海川のそばに湧くこの湯は、弘法大師が見つけたという伝えがあって、もう千年以上のあいだ、ここでずっと温かいまんまなんですよ。庄内藩の時代には湯役所が置かれて、ひとびとがからだを休めにきた。
与謝野晶子や斎藤茂吉もこの川沿いを歩いたんだなあと思うと、ふしぎな気持ちになります。旅館は七軒、共同浴場が三つ。湯之里公衆浴場のような古びた湯に浸かると、ふだんの時間がすこしだけゆるむのがわかるんです。朝市がひらかれる通りのそばには足湯もあって、泊まるひとも歩くひとも、おなじ湯気をわけあっている。
長く暮らすなら、この「くらしのみちゾーン」と呼ばれる静かな市道のスケールがちょうどいい。多拠点の拠点にするには、生活のリズムがすでにまちに組み込まれているところが頼もしいんですよ。海の向こうから来たひとには、川と湯と朝市だけで一日が成り立つ、この素朴な手ざわりがきっとうれしいはずです。
ONSEN
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