温泉
この場所の物語
足もとに岩が転がり、風が思ったより強い。そういう道を1時間半ほど歩いた先に、ひっそりと湯が湧いているんです。かもしか温泉は、屋根も壁もない、ほんとうの意味での野湯なんだなあ。かつてここには白雲山荘という山小屋があって、人が集まる場所だったらしい。
それが泡雪崩でなくなってしまい、いまは源泉を溜めた湯だまりだけが残っている。施設があるわけではないから、長期滞在や生活拠点として使う場所ではないけれど、その不在の感じがかえって土地の時間をはっきりさせるんです。浸かりながら、ここで起きたことをすこし想像する。
訪日客にとっては、日本の温泉文化のいちばん素の姿を、からだで知れる場所だと思う。歩いてたどり着いて、湯に浸かる。それだけのことが、ふしぎなほど記憶に残るんですよ。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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