ONSEN
鹿児島県
口永良部島
Kuchinoerabu-jima
温泉
湯から立ちのぼる硫黄のにおいが、潮風とまざって島をつつんでいるんです。口永良部島は、屋久島の西にぽつんと浮かぶひょうたん型の火山島で、新岳の火口がいまも静かに息をしている土地なんですよ。地面のすぐ下に火山の熱があるから、湧き出す湯はどこかそっけないほど当たり前の顔をしていて、ふだんの暮らしのなかに「浸かる」がとけこんでいるんだなあ。
本村港にフェリー太陽が一日一便だけ着いて、それがこの島の時間の刻みかたを決めているんです。歩くといっても島内に公共の乗りものはなくて、自分の足と風の音だけが頼りになる。長く滞在すると、硫黄鉱山がにぎわった時代の気配が地層のようにすこしずつ見えてくるんですよ。
暮らしの拠点にするには覚悟がいるけれど、余計なものがないぶん一日がちゃんと一日ぶんの長さを持っている。海の向こうからやってきた人には、火山と湯と海が重なるこのふしぎな地形そのものが、ほかのどこにもない体験になるんです。
ONSEN
同じ県の、湯
MATSURI
近くの、祭り