ONSEN 群馬県
丸沼温泉
Marunuma Onsen
TIER2
温泉

流紋岩の裂け目から、湯がじわりと噴き出しているんです。沼の底からも湧いている、というのがなんだかふしぎで、丸沼そのものが大きな湯船みたいに思えてくるんですよ。群馬の山のずっと奥、冬のあいだは道が閉ざされてしまうから、ここに浸かれるのは春から秋にかけてのほんのわずかな季節だけなんです。

一軒宿の丸沼温泉に泊まると、ふだんの時間の流れがすこし止まったような心地になるんだなあ。かつて開高健や井伏鱒二がこの宿を定宿にしたのは、書くことと黙ることの両方に向いた場所だったからじゃないかと思うんです。ナトリウムの塩っぽい湯は、肌にやわらかく残って、歩いたあとの足をちゃんとほどいてくれる。

長く滞在するなら、日々の輪郭がゆるやかに溶けていく感覚をたのしめるし、暮らしの拠点にはならない不便さがむしろここの値打ちなんですよ。訪日の旅人にとっては、バスを乗り継いでたどり着く深山の一軒宿という体験そのものが、ほかでは得がたい時間になるんです。

基本情報
所在群馬県

群馬県片品村の丸沼北岸に湧く温泉。片品温泉郷を構成する4つの温泉の一つで、一軒宿の源泉地。ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉で、文豪たちに愛された歴史ある湯治場。

地図
歴史
18世紀末からの利用, 1791年発見, 沼入の湯, 文豪の定宿, 開高健, 幸田露伴, 井伏鱒二, 1933年観光ホテル開業
アクセス
JR沼田駅または上毛高原駅から関越バスで鎌田下車後、さらにバス乗継で約29分。国道120号・金精道路沿い。冬期(12月下旬~4月下旬)は通行止め。
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