ONSEN 長野県
中房温泉
Nakabusa Onsen
TIER2
温泉

湯が、ほとんど沸騰しているんですよ。地面のすぐ下から、ものすごい熱がせり上がってくる場所に、ぽつんと一軒だけ宿がある。中房温泉というのは、そういうところなんです。中房川に沿ってずうっと湯が湧いていて、地表には珪華という、湯が長い時間かけてつくった白い堆積物がひろがっている。

それが天然記念物になっているというのが、ちょっとふしぎな感じがしますよね。江戸のころに開かれて、百瀬家がずっと守ってきた宿には、明治の湯治場建築がそのまま残っていて、本館菊なんかは文化財として登録されているんです。泊まると、ふだんの時間の流れかたとはべつの速度に巻き込まれるんだなあ。

浸かって、歩いて、また浸かる、という繰り返しが一日のかたちになる。長く滞在するなら、この「繰り返し」がからだに馴染んでくるまで待つのがいいんです。暮らすように泊まれる場所ではあるけれど、冬は雪に閉ざされるから、季節ごと受け入れる覚悟がいる。

海の向こうから来た人にとっては、山の奥の奥にこれほど熱い湯がひっそり在ること自体が、日本の温泉のいちばん素朴な姿かもしれません。

基本情報
所在長野県

長野県安曇野市の飛騨山脈表銀座、燕岳への登山口として知られる江戸時代から続く老舗温泉宿。日本百名湯に選定され、国の登録有形文化財7棟と天然記念物の膠状珪酸・珪華を有する。

地図
歴史
江戸時代開湯(1821年), 魏石鬼八面大王伝説, 坂上田村麻呂, 百瀬家の経営, 表銀座縦走路整備, 大正時代リゾート化
アクセス
JR大糸線穂高駅からタクシー・路線バスで40分。長野自動車道安曇野インターより1時間。4月下旬~11月半ば定期バス運行。
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