ONSEN
岐阜県
新穂高温泉
Shin-Hotaka Onsen
温泉
谷底から湯気がのぼるのを見て、ここは山が息をしている場所なんだなあ、とおもうんです。新穂高温泉は、蒲田川沿いに新穂高、蒲田、中尾と三つの地区がすこしずつ離れて点在していて、それぞれに湯の表情がちがうんですよ。寸志で浸かれる「新穂高の湯」は川のすぐそばにあって、空と湯けむりの境目がわからなくなるような、ふしぎなおおらかさがあります。
戦国のころから湧いていたという伝承が残っていて、井上靖が『氷壁』に書いた山の厳しさと、ここの湯のやわらかさは、ひとつの土地の裏表なんだろうとおもいます。泊まって朝を迎えると、山の気配がふだんの時間感覚をそっと書きかえてくれるんです。
長く滞在するなら、歩くたびにちがう地区の湯をめぐる日々がそのまま暮らしになります。多拠点の拠点としては、高山からバスで揺られる距離がちょうどよい「切り離され感」をくれる。訪日の方には、ロープウェイで一気にのぼる山岳の迫力と、谷に降りてからの静かな湯が、ひと続きの体験として残るはずです。
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