温泉
この場所の物語
硫黄の香りが、坂道のどこかで鼻をついてくるんです。そこからもう、新高湯温泉ははじまっている。標高千メートルを超える山のなかに、吾妻屋旅館がぽつんと一軒だけある。それだけで、なんだかすこし、ふだんの時間とちがう速度になるんですよ。
白い湯の花がゆらゆら浮かぶ露天風呂に浸かると、湯が生きているんだなあ、とわかる。長く泊まる人にとっては、その静けさが毎日の基準になっていく感じがします。生活の拠点にするには道はほそいけれど、山とともにある時間のリズムを体が覚えていくんです。
訪日のお客さんには、一軒宿という形そのものが、ふしぎでたのしい発見になるんじゃないかな。歩いてたどり着いた先に、百年以上まもられてきた湯がある。それだけで、もう十分な旅になりそうです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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