ONSEN 愛知県
塩津温泉
Shiotsu Onsen
TIER2
温泉

川の音がずっと聞こえているんです。野々瀬川という、すこし舌の上で転がしたくなるような名前の流れに寄り添って、塩津温泉はぽつんとあるんですよ。重曹泉のやわらかい湯は、もともと林業や農の暮らしのなかで体をほどくためのものだったんだなあ。

昭和のはじめに秀山荘が開かれてから、この谷間にはずっと同じ速さの時間が流れているような気がするんです。浸かって、歩いて、また浸かる。東海自然歩道が山稜の上を通っていて、尾根から降りてきた足をそのまま湯に沈められる、そういう場所なんですよ。

長く泊まるなら、芳泉荘を拠点に渓流釣りの日と何もしない日を交互に並べるのがちょうどいい。ふだんの生活圏から遠いぶん、暮らしの輪郭がはっきり見えてくるふしぎさがあるんです。訪日の旅人には、新美南吉が『山の中』で書いた風景がそのまま残っている、という一点だけで充分な理由になるんじゃないかなあ。

バスとタクシーを乗り継いでたどり着く、その手間ごとうれしくなる谷なんです。

基本情報
所在愛知県

愛知県北設楽郡設楽町の山間にある温泉。野々瀬川沿いに位置し、重曹泉の湯治場として古くから利用されてきた。渓流釣りや登山の拠点として、また新美南吉の小説『山の中』の舞台として知られている。

地図
歴史
昭和2年開業の秀山荘, 林業・農民の湯治客, 新美南吉『山の中』の舞台, 奥三河の歴史史料
アクセス
JR飯田線本長篠駅から豊鉄バス田口行で田口バス停下車(40分程度)、タクシーで10分程度。
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