ONSEN 長野県
白骨温泉
Shirahone Onsen
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温泉

湯船に手を沈めると、乳白色のなかに指先がすうっと消えていくんです。白骨温泉の湯は、そういうふしぎな濃さを持っている。鎌倉の昔からこの山峡に湧き続けてきた硫化水素の湯は、空気に触れるとしろく変わり、やがて石灰の殻をまとって噴湯丘という天然の造形物をつくる。

その時間の重なりが特別天然記念物になっているんだなあ。梓川のせせらぎだけが夜通し聞こえて、ほかにはなんにもない。歩ける範囲はごくちいさくて、宿も十軒ほど。でも、その閉じた地形がかえって「ここに泊まる」ということの輪郭をはっきりさせてくれるんです。

長く滞在するほど、からだが静けさのほうに合ってくる感覚がある。ふだんの暮らしの拠点をいくつか持つひとにとって、ここは「なにもしない」を選ぶための場所になりうる。海の向こうから来た旅人には、中里介山が書いた秘湯の気配がそのまま残っている山里として、ちょっとほかでは味わえない時間が待っています。

浸かって、眠って、また浸かる。それだけの繰り返しが、ここではいちばん正しいんですよ。

基本情報
所在長野県

北アルプス・乗鞍岳の山麓、標高1400メートルの中部山岳国立公園内にある秘湯。硫化水素泉の乳白色の湯で知られ、鎌倉時代から湧出し、江戸時代に本格的に開かれた。

地図
歴史
鎌倉時代からの湧出, 戦国時代・武田信玄の湯治, 江戸元禄年間・齋藤孫左衛門による開設, 大正時代・中里介山『大菩薩峠』での紹介, 明治以降の文人墨客の滞在, 1922年天然記念物指定, 1952年特別天然記念物指定, 1974年国民保養温泉地指定
アクセス
県道白骨温泉線の終点付近。上高地乗鞍スーパー林道B線との接続点付近にも旅館がある。
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