ONSEN
山形県
姥湯温泉
Ubayu Onsen
温泉
岩肌のあいだから、青みがかった白い湯が静かに湧いている。標高千三百メートル、噴火口の跡に刻まれた姥湯温泉は、そういう場所なんです。室町のころに発見されたというこの湯は、山姥の伝説をいまも手放さずにいる。ランプの宿だった時代の記憶が、桝形屋旅館の空気にうっすら残っているんだなあ。
一軒だけの宿に泊まるということは、その土地の時間ごと借りるみたいなことで、ここでの時間はほんとうにゆっくり流れるんです。酸性の硫黄泉に浸かると、肌がすこしひりひりして、湯の本気を感じる。国道から山道を十四キロ入った先にあるから、歩いてたどりつく感じではなく、たどりついたことそのものがうれしい。
訪日客にとっては、日本の「隠れる」という感覚を体で知れる場所だと思うんです。多拠点で暮らす人には、ふだんの速度をいちど手放す拠点として、ちょっと特別な意味を持つかもしれない。
ONSEN
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