温泉
この場所の物語
北里川の水音だけが聞こえてくる、そういう場所なんです。熊本県小国町、わいた温泉郷のいちばん南のはずれに、山川温泉はひっそりとあります。温泉街というものがなくて、数軒の宿と共同浴場が山のなかにぽつぽつと点在しているだけ。それがふしぎと、ここの時間の流れかたに合っているんだなあ。
浸かってみると、湯治場という言葉がすこし身近になる気がするんです。長く滞在する人にとっては、この静けさこそが暮らしになっていくんでしょう。生活の拠点としても、余計なものがないぶん、自分のリズムをとりもどしやすい土地だと思います。
2002年に完成したホタルの里温泉で日帰りの湯を楽しむこともできて、歩いてたどりつく共同浴場の素朴さとはまたちがう顔を見せてくれます。訪日客には、日本の湯治文化の原型みたいなものを、飾らないまま体験できる場所として、じんわり伝わるんじゃないかな。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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