温泉
この場所の物語
硫黄のにおいが、むかしここにあったはずです。大阪府南部の山あいに、山中渓温泉という場所があるんです。1931年に旅館が開業して、「大阪の奥座敷」と呼ばれた時代があった。浸かる人たちの声がにぎやかだったころが、たしかにあったんだなあ。
でも、道路が整備されて、もっと遠くまで行けるようになったとたん、人の流れはすうっと変わってしまった。2005年までに全旅館が廃業した、というのが、この場所の正直な現在地です。泊まるところも、歩いて立ち寄れる湯もない。長期滞在の拠点としては、むずかしいのが素直なところです。
訪日客にとっては、温泉地の「その後」をじっさいに目にできる、ふしぎな場所かもしれない。JR山中渓駅からすぐ近くに、時間が止まったような景色がある。それだけでも、ちょっと特別な手触りがあるんです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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