ONSEN
鹿児島県
湯之元温泉
Yunomoto Onsen
温泉
国道沿いの街並みにふっと湯の気配がまじる、そういう場所なんです。湯之元温泉は市街地のなかに溶け込むようにして残っている湯治場で、硫黄をすこし含んだ単純泉が四つの泉源から静かに湧いています。薩摩藩が直轄で守ってきた湯で、かつては身分によって浸かる湯が分けられていたというから、ふしぎな重みがあるんだなあ。
「打込湯」と呼ばれる昔ながらの湯治の作法が残っていて、からだをゆっくり預けるための時間がここにはふだんの顔をして流れているんです。長く泊まるなら、ハマオカポケットパークの日替わりカフェに顔を出すような暮らしの輪郭が見えてきます。
多拠点の拠点として考えると、街の機能がそばにある安心感と、湯治場特有の静けさがちょうどいい塩梅で同居しているんですよ。訪日の旅人にとっては、薩摩焼の窯元がすぐそばにあって、湯と手仕事がひとつの土地で重なっている景色がこの場所だけのものだと思います。
梅月堂の湯之元せんべいをかじりながら歩くと、ああ、ここは観光地になりきらないまま続いてきた町なんだ、とわかるんです。
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