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この場所の物語
白鷺城という呼び名が示すとおり、姫路城の白い壁が、まちのどこからともなく目に入ってくるんですよね。城下町の二階町商店街には御座候や玉椿の看板があり、夕方になれば姫路おでんや焼きアナゴ、えきそばといった、ふだんづかいの味が暖簾の向こうに灯る。新幹線の駅から城まで一本道で歩けてしまう、そのこぢんまりとした距離感が、なんだかうれしい。
少し視線をずらすと、播磨臨海工業地帯の煙と、瀬戸内海の漁の気配が、同じまちのなかに並んで存在しているのがふしぎなんです。姫路港から船に乗れば家島へ渡れて、風待ち潮待ちの港だったという家島神社のあたりまで、暮らしの延長で行ける。長く逗留する人にも、拠点をいくつか持つ人にも、こういう「市街と島がひと続き」というぐあいは、ちょっと贅沢に感じられるはずです。
明珍火箸や白なめし革細工といった、手しごとの名前が今も生きているのもいいなあと思います。書写山圓教寺の山あいの静けさ、松原八幡神社の灘のけんか祭りの熱、播磨国総社の三ツ山大祭——城と城下と海と山と工場が、ひとつのまちのなかにそれぞれの顔で並んでいる。遠くから訪ねてきた人が、世界遺産だけでは持ち帰れない手触りを、ここではすこしずつ拾っていけるんです。
家島に泊まる
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