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この場所の物語
三河湾のまんなかに、面積二キロにも満たない小さな島が浮かんでいるんですよね。一色のりばから渡船で二十五分、それくらいの距離なのに、降り立つと黒いコールタールの壁が扇のように並んでいて、ちょっと不思議な気持ちになるんです。「三河湾の黒真珠」と呼ばれるこの町並みが、佐久島のいちばんの手触りなのかもしれません。
平安創立の八劔神社や、1192年開基の崇運寺、四百年つづく盆踊り、三河三弁天のひとつである筒島の弁財天。歩いていると、暮らしの行事と海運で栄えた島の記憶が、細い路地のそこかしこに残っていることに気づくんです。ヤブツバキのトンネルが続く丘の道や、47基という古墳群も、ふだんの散歩のなかにふっと現れる。
特産はコノワタやハマダイコンで、漁港の島らしいものが食卓にのぼるみたい。河川のない島だから水まわりの暮らしは独特だけれど、現代アートの作品があちこちに点在していて、すこし長く滞在して読んだり書いたりするのにも合いそうなんです。日本のふだんの島の暮らしを、静かに、でもアートを介してすこし新しい角度から眺められる場所として、海外から来た人の記憶にも残るんじゃないかなあと思います。
佐久島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 三河湾
- 佐久島
- 篠島
- 佐久島
- 日間賀島
自然公園
漁港・港
離島