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この場所の物語
石垣の路地を、猫たちがふだんの足どりで歩いていく。佐柳島という塩飽諸島の小さな島は、本浦と長崎というふたつの漁村集落が南北に分かれていて、刺し網漁やタコ壺漁、それから畑の自家消費の暮らしが、いまもふつうに続いているんですよね。多度津港からフェリーに乗って、高見島を経由してたどり着く距離感が、もう、ちょっと特別なんです。
長崎の埋め墓には両墓制という古いならわしが残っていて、これは県指定の有形民俗文化財でもある。乗蓮寺には、咸臨丸で客死した平田富蔵のお墓もあるんだそうで、海に開かれた島の歴史が、こういう静かなかたちで息づいているんだなあ、と思います。
高登山に登れば島の輪郭がぜんぶ見えてしまうくらいの大きさで、滞在しているうちに港の人の顔も、よく通る猫の顔も、すこしずつ覚えてしまう。多拠点の片隅にこういう島をひとつ持っておくのは、たぶんとてもいいことだし、遠くから来た人にとっては、瀬戸内海の暮らしの素のかたちに触れられる、ふしぎな場所なんです。
佐柳島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 瀬戸内海
自然公園