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この場所の物語
安山岩の崖の上に、葉たばこの畑がしずかに広がっているんですよ。櫃島という、萩の沖に浮かぶ小さな島の話で、定期船はなく、住む人のチャーター船でしか辿りつけない。櫃島港から坂をのぼると、櫃島八幡宮の境内に、樹齢四百年とも言われるリュウキュウエノキが、ずっしりと立っているんです。
平家の落人伝説や江戸の島流しの記憶を抱えたまま、いまはほんのわずかな人が、葉たばこを育てて暮らしている。北長門海岸の断崖と、クロマツと、県内でここだけというヒゴタイの自生地。そういうものが、淡々と並んでいるんですね。
ふだんの旅程には、たぶん組み込めない島です。でも、こういう場所が日本海にぽつんとあると知っているだけで、暮らしの輪郭がすこし変わる気がするんだなあ。大島からたった一キロほどの海の向こうに、時間の進みかたのちがう島がある、というのが、なんだかいいんですよね。
櫃島に泊まる
この場所の中身
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