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この場所の物語
黒糖焼酎の甕がならぶ蔵の奥で、サトウキビの匂いがふっと立ちのぼる。鹿児島と沖縄のあいだに浮かぶこの島は、琉球の言葉と九州の言葉がまざりあって、シマ唄や八月踊として今も日々の中に残っているんですよね。海の色は、透きとおっていて、ちょっと他では見かけない青なんです。
住用町のマングローブ林をカヌーで漕いでいると、亜熱帯の照葉樹林がそのまま海につながっていくぐあいがわかってくる。金作原の原生林を歩いた帰りに、田中一村美術館で島の植物を描いた絵をゆっくり見る、そういう一日のつくり方もできる土地なんです。世界自然遺産センターや奄美野生生物保護センターのような場所があるおかげで、自分が今どんな島にいるのか、すこしずつ手触りで理解していけるのもうれしい。
大和村や宇検村、瀬戸内町のあたりまで足をのばすと、人の数はぐっと少なくなって、ふだんの時間が島のリズムにそっと馴染んでいく。大島紬の織りや、近大マグロを育てている入り江、平家の落人が祀られた小さな神社、そういうものがふつうに暮らしの中にあって、長く居ても、何度も通っても、まだ知らないことが残っている。それが、この島のいいところだと思うんです。
奄美大島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 奄美大島
離島