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この場所の物語
定期船を降りると、漁師食堂街の看板が十六軒、横並びに迎えてくれるんです。熱海港から五十分の沖にある初島は、四十一戸の共同体がずっと守ってきた島で、シマテラス初島の展望テラスから見渡すと、ほんとうに小さな平らな島なんだなあ、と分かります。初島漁協スーパーマーケットで鮮魚と生活用品が一緒に並んでいるぐあいに、暮らしと観光がするっと地続きになっている。
初木神社の鹿島踊りが七月に、竜神宮の例大祭が四月にあって、漁師さんたちの信仰がいまも季節をつくっているんですよね。PICA初島の海泉浴「島の湯」に浸かったあと、初島灯台まで歩いてもすぐ。火山島が関東地震でぐっと隆起してできた段丘の上を、ちょっと散歩するだけで一周できてしまう、すこしふしぎなスケールの土地です。
しばらく逗留してPCを開く人にも、本土と行き来しながら通う人にも、海外から短く立ち寄る人にも、この島は同じ顔で迎えてくれる気がします。源実朝の歌に詠まれた風景が、漁協の冷蔵庫の音や定期船の汽笛とならんで、ふだんの暮らしの中にあるんです。
初島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 宇佐美
- 初島
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