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この場所の物語
信号機がひとつしかない、と聞いただけで、その島の時間のぐあいが少しわかる気がするんです。隠岐の西ノ島は、船引運河と西ノ島大橋で東西の暮らしがつながっていて、浦郷の側と黒木・美田の側を、町営バスがことことと行き来している。七類港からフェリーで二時間半、別府港に降り立つと、それだけで日常からひとつ膜を隔てた感じがするんですよね。
焼火山にしずかに鎮座する焼火神社や、由良比女神社のような信仰の場が、ふだんの暮らしのすぐそばにあるのもいいなあと思います。黒木御所・碧風館に残る歴史の手ざわりや、西ノ島ふるさと館で島の来歴をたどる時間は、すこし長めに滞在してこそ味わえるたぐいのもの。
周囲百十七キロの海岸線をもつ島で、机をひとつ置いて何週間か仕事をしてみる、という暮らし方が想像しやすい場所でもあります。観光地のにぎわいではなく、島の日常のほうに身を寄せていく感じ。遠くから来た人にとっては、本州からフェリーを乗り継いで辿り着くという道のり自体が、もう旅のいちばん深いところに触れているのかもしれません。
西ノ島に泊まる
この場所の中身
島の上にあるもの
- 西ノ島
離島