ONSEN
群馬県
伊香保温泉
Ikaho Onsen
温泉
石段をひとつ、ふたつと踏みしめるたびに、足裏からじんわりと温泉街の体温が伝わってくるんです。伊香保温泉の三百六十五段は、ただの階段ではなくて、みやげ物屋や湯宿がぎゅっと寄り添う「たてに伸びた町」そのものなんですよ。鉄分をふくんだ茶褐色の黄金の湯は、万葉の時代からこの傾斜地を静かに潤してきたのだそうで、石段の湯に浸かると、ずいぶん長い時間の底に手を浸しているような気持ちになるんだなあ。
もうひとつ、無色透明の白銀の湯というのがあって、ひとつの温泉地にふたつの顔があるのは、ちょっとふしぎなことです。石段をのぼりきると伊香保神社があり、歩くこと自体がお参りの道になっている。長く滞在するには町が急坂に凝縮されていて、暮らすというよりは濃く泊まる場所という手触りでしょうか。
多拠点の拠点にするにはすこし濃密すぎるかもしれないけれど、その密度こそが訪日の旅人には代えがたい体験になるんです。ふだんの生活にはない角度で、町が立ち上がっている。
ONSEN
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