ONSEN
和歌山県
南紀勝浦温泉
Nanki Katsuura Onsen
温泉
船に乗らないと、たどり着けない湯があるんです。勝浦の港から小さな渡し船に揺られて島へ渡ると、そこにはもう宿しかない。ホテル浦島の忘帰洞は、自然の洞窟がそのまま湯船になっていて、太平洋の波音がずっと足もとに響いている。「帰るのを忘れる」という名前をつけた人の気持ちが、浸かると、ふしぎなほどわかるんですよ。
碧き島の宿・熊野別邸中の島にも潮聞之湯があって、こちらは波の声をすこし近くに聴くような湯なんだなあ。リアス式海岸が入り組んだ地形のおかげで、港町なのに歩くたびに景色が変わるんです。共同浴場のはまゆには地元の漁師さんがふだん使いで通っていて、旅の人もそこに混ざれる。
ただ、長く暮らす拠点として考えると、町の規模はちいさくて、生活のリズムは自分でつくる必要がありそうです。熊野三山や那智滝への入口でもあるから、訪日の旅人にとっては世界遺産の霊場をそのまま歩ける場所でもある。海と山と信仰が、ひとつの港に重なっている、そういう温泉地なんです。
ONSEN
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