ONSEN
佐賀県
嬉野温泉
Ureshino Onsen
温泉
川沿いにならぶ旅館の屋根が、盆地のなかでひしめくように見えるんです。嬉野温泉のお湯は、ナトリウム炭酸水素塩泉という名前よりも「とろみ」で語られることが多くて、浸かったあとの肌がすこしだけ別ものになったような感覚が残るんですよ。
長崎街道の宿場町だった時代から、ここはいつも「通り道」であり「泊まる場所」でもあったんだなあ。シーボルトの湯という公衆浴場は大正の姿に再現されていて、歩くだけでその時間の重なりに触れることができるんです。五十軒ちかい旅館がそれぞれ別の顔を持っていて、和多屋別荘のような歴史の深い宿もあれば、ふだん使いできそうな気楽さの宿もある。
訪日の旅人にとっては、街ごとお湯に包まれているようなこの密度がちょっとふしぎに映るかもしれません。一方で、長く暮らす拠点として考えると、歓楽温泉の名残がある賑わいは静かに籠もりたい人にはすこし近すぎるかもしれない。けれど、塩田川のほとりでぼんやり足湯に浸かっていると、通過する場所と滞在する場所のあいだに、ちょうどいい中間があるんだなあと思えてくるんです。
ONSEN
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