ONSEN
和歌山県
湯の峰温泉
Yunomine Onsen
温泉
湯気のむこうに、ちいさな谷がある。谷の両岸に十数軒の宿が寄り添うように並んでいて、その真ん中を川が流れているんです。湯の峰温泉というのは、そういう場所なんですよ。四世紀からここに湯が湧いていたというから、もう「古い」を通り越して、土地そのものが湯でできているような気がしてくるんだなあ。
つぼ湯に浸かると、一日に何度も湯の色が変わるという話があって、ほんとうかどうかは自分の目で確かめるしかないんです。湯筒では源泉のそばで卵や野菜を茹でる人がいて、ふだんの台所みたいな顔をした温泉がそこにある。東光寺には湯の花が積もったまま祀られている薬師如来がいて、信仰と湯治がわけられないまま続いてきた時間を感じます。
長く泊まるなら、この谷の静けさはちょっとした生活になるし、歩くたびに熊野への古い道とつながっていく感覚がうれしい。訪日の方にとっては、温泉としてはじめて世界遺産になった場所という、ほかにない固有の物語がここにあるんですよ。
ONSEN
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