野菜・豆の料理
宮崎県 椎葉村
菜豆腐
さちとあじ · FOOD & DRINK
豆腐を作る途中に菜を混ぜて固める。切ると緑が散っている。
この場所の物語
大事な日に出てくる一皿が、じつは豆を節約するための工夫でもあったわけです。椎葉は、熊本と境を接する山あいの村で、平家の落人の伝説が残っています。いまも上方の言葉が使い継がれていて、食のなかにも京の料理を思わせるものがあるそうです。山の畑では、大豆がなかなか穫れませんでした。
この菜豆腐というのも、そのひとつということになります。春には菜の花や山藤の花、三つ葉を入れます。秋から春にかけては、野沢菜によく似た平家かぶという青菜を茹でて混ぜるんですよ。切ってみると、白いなかに緑がぽつぽつ散っているんですよ。見た目のほうは、思いのほか華やかになります。
花や青菜を混ぜるのは、色合いと味と滋養のためでもあります。ただ、いちばんの理由は豆腐の嵩を増やすことでした。貴重な大豆を、少しでも長くもたせるための工夫でした。集まりというのは、祭りに結婚式に葬式に法事です。人の集まる日には、この豆腐が必ずと言っていいほど作られてきました。白と緑の切り口が、そのまま晴れの日の色でした。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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