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能登かき祭り
冬の海から、牡蠣が上がる。 能登、穴水。内海の、静かな湾。波が穏やかで、プランクトンが豊か。牡蠣が、ゆっくり身を太らせる。外海の荒さがない。だから、まろやか。一年かけて、ようやく食…
冬の海から、牡蠣が上がる。
能登、穴水。内海の、静かな湾。波が穏やかで、プランクトンが豊か。牡蠣が、ゆっくり身を太らせる。外海の荒さがない。だから、まろやか。一年かけて、ようやく食べごろ。
二月、かき祭り。炭火に網をのせ、殻ごと焼く。蒸気が上がり、殻が、ぱかりと開く。そのまま、熱いのをすする。海の味が、濃い。生でも、蒸しでも、フライでも。汁が、口いっぱいに広がる。殻をむく手が、止まらない。
寒いほど、牡蠣は甘い。雪の降る日が、いちばんうまい、と地元は言う。
震災に遭った土地でもある。湾も、養殖筏も、傷ついた。それでも海は戻り、牡蠣はまた育つ。焼いて、食べる。冬の、当たり前の景色として。
牡蛎の養殖棚が、湾の水面にいくつも並んでいるんですよね。七尾北湾に面した南側と、富山湾に開いた東側、ふたつの海をそばに置きながら、穴水町の暮らしはずっと続いてきた。岩海苔やナマコ、くちこやこのわたといった加工品まで、海からの恵みが手仕事とつながっているのが、この町のふだんの輪郭なんです。
穴水町商店街は約1kmつづく通りで、飲食店がたくさん並んでいて、古代から交通の要所だったという歴史がそのまま商業の気質として残っている感じがします。鎌倉時代に長谷部氏が築いた穴水城の痕跡も、飛鳥時代に創建されたという白雉山明泉寺の五重塔も、この町のそこかしこに時間の層が重なっているんだなあ、とゆっくり気づいていく。
北と西の丘陵が冬の風をさえぎってくれるおかげで、比較的おだやかな気候のなかで一日が過ぎていく。夜になると、星空の町として選ばれた空が頭の上にあって、能登ワインをグラスに注ぎながら外を見上げると、それがふしぎでいいなあと思う瞬間なんです。
石川県穴水町に泊まる
この地に重なるもの
- 明泉寺五重塔
- 能登半島
- 河内千丈温泉
- 穴水
- 能登鹿島
- 能登空港
- 前波
- 岩車
- 新崎
- 曾良
- 沖波
- 甲
- 鹿波