鍋・汁
鹿児島県
さつま汁
さちとあじ · FOOD & DRINK
鶏と根菜を味噌で煮る。闘鶏に負けた鶏を食べたのが始まりと伝わる。
この場所の物語
勝ち負けの話から始まったのに、残ったのは人が来た日の汁のほうなんですよね。鶏と根菜を、麦味噌でごった煮にした汁になります。江戸のころ、薩摩の武士たちは士風を高めるためだと言って、盛んに闘鶏をしていました。負けたほうの鶏をその場でしめて、野菜と一緒に煮て食べたのが始まりだと伝わります。ずいぶん現金な始まり方だと思いました。
闘鶏が禁じられたあとも、家々では鶏を放し飼いにしていました。客が来た日や祝いの日に、その鶏をしめて煮たのだそうです。干し椎茸、こんにゃく、牛蒡、人参、大根、里芋が入ります。椀のなかが、ずいぶん賑やかになるんですよ。汁というより、箸で食べるもののほうが近いくらいです。
いまは、とくに時期を決めずに作られています。ただ、体が温まるので、寒い季節に出てくることが多いようです。麦味噌を使うので、甘みのほうが立ってくるんですよ。鶏から出た脂が、椀の縁のほうにうっすら浮かんできます。勝ち負けの話は、もうどこにも残っていません。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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