祭事
香嵐渓の紅葉
Korankei Gorge Autumn Leaves
祭事 · Festival
一人の僧が、楓を植えた。
江戸のはじめ、香積寺の住職が、参道に苗を植えたのが始まり。それが代を継いで広がり、いまは四千本。十一種類の楓が、谷を埋める。
巴川に沿って、赤が連なる。待月橋から見下ろすと、川面まで紅い。種類が多いぶん、色づきに幅がある。緋色、朱、橙、まだ青いもの。一様でない赤が、層になる。同じ赤は、二本とない。
夜はライトアップされる。水面に映る紅葉が、昼とちがう色を見せる。川と空の境が、わからなくなる。闇のなかで、赤だけが浮かぶ。
一本の木から始まった景色。三百年かけて、谷ぜんぶが赤くなった。植えた僧は、この眺めを見ていない。それでも、植えた。気の長い話が、ここにはある。
ONSEN
同じ県の、湯