温泉
この場所の物語
河原をスコップで掘ると、じわっと湯が滲んでくるんです。自分だけの足湯をその場でこしらえる、そんなふしぎな遊びができる場所が、秋ノ宮にはあるんですよ。源泉がおよそ四十もあって、旅館に引かれる湯もあれば、地域の暮らしのなかに溶けている湯もある。
ここでは温泉が特別なものではなく、ふだんの水みたいに、ひとの日常のすぐそばを流れているんだなあ。役内川に沿って宿が点在していて、鷹の湯温泉のように千年を超える時間を持つ古湯もあれば、稲住温泉のように建築家・白井晟一の仕事が静かに佇む宿もある。
歩くたびに湯の性格がすこしずつ変わっていく、その手触りのちがいを味わうのがたのしいんです。長く泊まるほど、湯治場の時間のゆるやかさが身体にしみてくる。多拠点で暮らす人には、生活と温泉が分かれていないこの土地の在りかたが、ちょっとしたヒントになるかもしれません。
訪日の旅人にとっては、観光地として整えられすぎていない「素」の温泉文化に浸かれる、得がたい場所なんです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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