温泉
この場所の物語
あちこちから湯煙が立ち上っている、というのがまず目に入るんです。丸尾温泉は、霧島連峰の南中腹にひろがっていて、その地面そのものが熱を持っているような場所なんだなあ。食塩と硫黄を含む湯は源泉温度に幅があって、浸かるたびに湯のふるまいがすこしちがう気がするんです。
1917年に丸尾旅館が営業をはじめてから、長く鹿児島の奥座敷として人びとに使われてきた時間が、この温泉街にはしずかに積み重なっている。大きなリゾートスパと湯治むけの小さな宿が肩を並べているのが、ここの素の表情で、長く泊まっていても飽きない層の厚さがあるんです。
温泉市場を歩くと、土産物屋や足湯がまじりあって、生活の匂いがする。栄之尾温泉の湯が流れ落ちる丸尾滝は、訪日客にとって「温泉が滝になっている」という、ほかではなかなか出会えないふしぎな光景なんです。湯煙の中をただ歩くだけで、じゅうぶんここにいる実感がある。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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