温泉
この場所の物語
山の中腹を登ってくると、空気がすこし変わる瞬間があるんです。標高600メートルのあたりで、においが変わる。それがくりこま高原温泉郷に近づいたサインなんだなあ。塩化物泉と硫黄泉、性格の違うふたつの源泉を持っていて、どちらに浸かるか選べるのがふしぎとうれしい。
享保5年、江戸のまだ若いころから湯が湧いていたという場所で、くりこま荘やハイムザール栗駒に泊まって、ゆっくり時間をかけて湯に向き合うのが、ここの正しい過ごし方な気がします。湯治場という言葉がいまもしっくりくるくらい、場所の時間がふだんよりゆっくり流れているんです。
長く滞在すればするほど、そのリズムに体が慣れていく。生活の拠点として考えると、都市からのアクセスはすこし手間がかかるぶん、来た人だけが知る静けさがあります。訪日客にとっては、観光地とも保養地とも違う、湯治という日本固有の時間の使い方を、素のままで体験できる場所だと思うんですよ。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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