温泉
この場所の物語
湯気がまっすぐ空へ立ちのぼっていくのを、海辺でぼんやり眺めている時間があるんです。小浜温泉の湯は、地面の奥からとんでもない熱をたずさえて湧いてくる。その放熱のちからは、ほかのどこよりも大きいと言われていて、ふしぎと町全体がつねに温もっているような感じがするんですよ。
橘湾に沈む夕日を見ながら浸かる露天風呂は、湯と海と光がひとつに溶けあって、からだの輪郭がすこしあいまいになる。「ほっとふっと105」というながい足湯に腰をおろすと、歩きつかれた足がじんわりほどけていくんだなあ。肥前風土記にも記された古い湯治場のリズムは、泊まる日数が増えるほど肌になじんでくるもので、ふだんの暮らしの延長みたいに過ごせる静けさがあるんです。
多拠点で暮らす人には、この「生活ができる温泉地」という手ざわりがうれしいはずです。海の向こうからやってきた旅人にとっては、噴泉塔から熱い湯が噴きあがる光景が、この土地だけの記憶として残るんじゃないかとおもいます。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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