温泉
この場所の物語
駅を降りると、すぐそこに湯の気配があるんです。浜村温泉は山陰本線の浜村駅前にぽつりと広がっていて、日本海の砂浜と温泉街がほとんどくっついている。もともとは一五〇一年に見つかった勝見温泉という古い湯と、あとから発見された浜村の湯がひとつに重なってできた場所なんですよ。
小泉八雲がこの土地を「小さな美しい村」と書き残したのも、ふしぎと納得してしまう静けさがあるんだなあ。浜村温泉館気多の湯で浸かりながら山を眺めていると、ふだんの時間がすこしだけほどけていく感じがするんです。長く泊まるなら、ゆうゆう健康館けたかの足湯やプールがあって、湯治場だった頃の「からだを整える暮らし」がそのまま残っているのがうれしい。
多拠点で暮らす人にとっては、駅前にすべてがまとまっているこのちいささが、かえって心地いいかもしれません。海辺を歩けば、貝殻節という土地の唄が祭りのなかに息づいていて、訪日の旅人にはそれがこの浜だけの手ざわりとして伝わるんです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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