鍋・汁
石川県 金沢市
治部煮
さちとあじ · FOOD & DRINK
小麦粉をまぶした鴨や鶏をすだれ麩と煮る。粉がとろみになり、山葵を添えて出す。
この場所の物語
粉が、うまみを閉じこめて、汁にとろみもつけます。鴨を薄く切って、小麦粉をまぶしてから煮るからなんですよね。ひとつの手つきで、二つのことをしていることになります。家の料理というより、職の人の考え方だと思います。石川県の金沢に伝わってきた、改まった席の煮ものです。
そこへ、すだれ麩という金沢の生麩が入ってきて、これが汁をたいへんよく吸うんですよ。さらに椎茸と、せりかほうれん草が加わります。仕上げに山葵をのせるのが決まりで、この一点だけが、ほかの煮物と違う顔をしています。旬は11月から2月にかけての冬です。
名前の由来には説がいくつもあります。じぶじぶと煮る音から、という説もあれば、人の名から来たという説もある。加賀藩の料理人が18世紀の前半に書いたものに、似た鴨料理が出てきます。どれが本当かは決まっていません。とろみのある汁に、冷たい山葵。この取り合わせを考えた人は、たぶんずいぶん考えたのだと思います。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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