温泉
この場所の物語
ぬるい湯に、ながく浸かるんです。からだを温めるというより、からだの奥にしずかに染みこませるような時間が、この山あいの谷には流れているんですよ。増富ラジウム温泉の湯は、熱くないからこそ、ひとは湯船のなかでぼんやりと考えごとをしたり、なにも考えなかったりする。
そういう「なにもしない」が、ここではいちばんふつうのことなんだなあ。渓谷に点在する八軒の宿は、どれもちいさくて、ふだんの暮らしのすぐとなりにあるような佇まいをしているんです。井伏鱒二がこの谷を歩いたのも、きっとそういう素朴さに呼ばれたんだろうとおもう。
長く滞在するなら、湯治という昔ながらのリズムがそのまま生きている場所は、じつはとても少ないんですよ。多拠点で暮らすひとには、山のなかに「帰る場所」がひとつあるという感覚がふしぎとしっくりくるかもしれない。遠くから来た旅人にとっては、ぬる湯にじっと浸かるという行為そのものが、ほかではちょっと出会えない体験になるんです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
※上記リンク経由のご予約はAURAの運営を支えます(料金は変わりません)
まわりを読む