温泉
この場所の物語
ぶどう畑のあいだに、ふいに湯が湧いたんだそうです。それも戦後のことで、温泉地としてはずいぶん若い。小松遊覧農場という農園の敷地から湧き出した湯は、はじめ青空の下にあふれるままだったというから、ちょっとふしぎな始まりなんですよ。
そこから街は、都心との近さを武器にして、にぎやかな歓楽温泉街へと一気に育っていったんです。平坦な土地にひろがる温泉郷は、坂道を歩かなくていいぶん、ふだんの暮らしの延長みたいな空気がある。隣の春日居温泉とひとつづきになっていて、浸かる湯をすこしずつ変えながら泊まる日々は、長く居るほどからだになじむんだなあ。
新宿から特急で一時間半ほどという距離感は、多拠点で暮らすひとにとって「行き来できる温泉地」という意味を持つんです。訪日の旅人には、農地の記憶と湯とが重なり合う、日本の戦後がそのまま風景になったような場所として映るかもしれません。
毎分たっぷり湧く湯は、歴史の浅さを補ってあまりあるほど、からだにはやさしいんですよ。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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