温泉
この場所の物語
河原の石をどかすと、そこから湯が湧いてくる。天ヶ瀬温泉というのは、そういうふしぎな場所なんです。玖珠川のすぐそばに露天風呂がいくつもあって、薬師湯や益次郎温泉といった共同湯に、ふだん着のまま歩いていける。駅を降りたら、もう温泉街。
その距離感がちょっとうれしいんですよ。奈良時代よりも前から湯が出ていたという話が『豊後国風土記』に残っていて、大地震で湧き出したという伝説もある。つまり、この土地の時間は、人の歴史よりもずっと長いんだなあ。長く泊まるなら、川の音を聞きながら暮らすように浸かる日々が自然とできあがります。
二十軒ほどの宿と民宿がひとつの川沿いにまとまっていて、生活拠点としてのスケール感がちょうどいいんです。訪日の旅人にとっては、河原に湯船がぽつんとある風景そのものが、ほかではなかなか出会えないものだと思います。炭鉱の時代に保養地として人を受け入れてきた、その素朴な手つきが、いまもそのまま残っているんです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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