温泉
この場所の物語
蔵王の山裾に、いくつかの湯がひっそりと散らばっているんです。小原、鎌先、遠刈田、峩々——それぞれが少しずつ違う顔をもっていて、ひとつの「温泉郷」という言葉でまとめるには、ちょっともったいないくらいです。浸かってみると、それぞれの湯に固有の手触りがあって、同じ山麓からこんなに表情が変わるのかと、ふしぎな気持ちになるんですよ。
歩いてみると、標高の差がそのまま空気の密度の差になって、体に伝わってくるんだなあ。長く泊まるほどに、その土地の時間の流れ方がわかってくる。古くから湯治の場として使われてきた場所ですから、滞在そのものが目的になる、そういう構造をもっているんです。
多拠点で暮らすひとには、拠点ごとに湯を選ぶという贅沢が待っています。訪日客にとっては、日本の温泉文化が「観光地」ではなく「日常」に近いかたちで残っている、すこしめずらしい場所です。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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