温泉
この場所の物語
田んぼのまんなかに、ふしぎと湯が湧いているんです。佐野温泉は、農家の辻岡敬三さんが観音様のお告げを受けて掘り当てたという、ちょっと信じがたいような始まりを持っていて、最初はドラム缶に湯を張って浸かっていたそうなんですよ。その素朴さが、いまもこの場所の空気にそのまま残っているんだなあ。
地の底ずっと深くから届く湯は、とろりとしたナトリウム・カルシウムの硫酸塩泉で、肌にやわらかくのこる感じがします。福の湯には露天風呂付きの部屋があって、泊まりながら自分のペースで湯に浸かる、という暮らしかたができるんです。ゆのくに湯治館には自炊の棟もあるから、すこし長く腰をすえて滞在したいひとには、ふだんの生活をそのまま持ちこめる場所でもある。
館内に恐竜の化石が展示されているのも、福井という土地の時間のスケールをふと思い出させてくれます。海外から来たひとにとっては、観光地ではない日本の田園で湯に出会う、という体験そのものがめずらしいはずです。歩くと、ただ静かな風景がつづくだけ。
それがここの手ざわりなんです。
泊まるなら
一日では、たぶん足りない。
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